「アフター・コロナ」の中、私たちの「働き方」をプランニングするー落合陽一「働き方5.0」

2021年3月4日木曜日

ワークスタイル 落合陽一

t f B! P L

 当初は、「ワーク・ライフ・バランス」といった、仕事とプライベートの関係性や、労働時間短縮のベクトルで考えるのが「働き方」の問題だったのですが、新型コロナ・ウィルスの流行によって、それをはるかに超えた、リアルかオンラインかを含めた「働くスタイル」「生活のスタイル」にまで問題が拡大してしまったのが、現在の「働き方」の議論。

これについて、今、一番勢いのあるオピニオン・リーダーが語っているのが本書『落合陽一「働き方5.0 これからの世界をつくる仲間たちへ」(小学館新書)』です。

構成と注目ポイント

構成は


プロローグ 「魔法をかける人」になるか「魔法をかけられる人」になるか

第一章 人はやがてロボットとして生きる

第二章 今を戦うために知るべき「時代性」

第三章 「天才」ではない、「変態だ」

エピローグ エジソンはメディアアーティストだと思う


となっていて、本書の底本となっているのは2016年に出版された「これからの世界をつくる仲間たちへ」で、当時、デジタルネイチャーという新世代の登場が言われ、フツーの人間の仕事が「AI」によって奪われる恐怖が言われていた頃であったように思うのですが、その頃と比べての大きな変化は、新型コロナウィルスの感染拡大で、「デジタル」の世界がリアルの世界より、ほとんどの人に身近な環境になったことと、否応なしにそれに慣れなければならない、ということでしょう。


そんなことを前提として、本書の「状況認識」としておさえておくべきは


作業の段取りを組んで指示を出す現場監督的な中間管理職がシステムに置き換わって不要になり、その分の人件費をブルーカラーに同せるようになるからです。

組織のトップで意思決定を行うのは人間のままでしょうが、その下にいるのは現場の労働者だけでいい

(中略)

しかしこうなると、現場の労働者は「システムの下請け」のようなものです。コンピュータのプログラムのほうが、人間よりも上位の概念になってしまう。SFのような話ですが、それはもう現実の話になっています。


であったり、


我々のまわりにはすでに膨大な情報があり、それだけで十分おなか一杯にできます。でも、もはや栄養のない情報だけでは満足できません。自分にとって価値のある、美味しい内や野菜のような情報を与え続けないと、人々が満足しない世界になっています。

そして、そのためのリソースは人間の脳みその中 もしくは、いままで育んできた教育の中にしかありません。誰にでも作り出せる情報の中には、価値のあるリソースはない。

その人にしかわからない「暗黙知」や「専門知識」にこそリノースとしての値打ちがあります。それをどれだけ資本として取り込むことができるか。lT世界では、そこが勝負になる


といったところでしょう。ここでわかるのは、今までピラミッド構造状になっていた社会が中抜きになって、しかも、しかも、社会をリードする層とリードされる層との間に連続性がない、ということかと思います。最近、貧富の差が拡大し、貧者から富者へとなりあがっていくことがなくなっていることが指摘されているのですが、もっと極端な社会が到来しようしているのかもしれません。


そして、こうした時代認識を基礎にしながら、どう生きていく戦略をたてるかということについて筆者は


いずれにしろ、情報がシェアされる時代に自分の価値を高めるには、簡単にはシェァできない、そしてイメージすることのできない暗黙知を自分の中に深く彫り込んでいくしかありません。


であったり、


必要なのは、「デジタル ネイティヴ」としてコンピュータの使い方に習熟することではありません。コンピュータの使い方を覚えるのではなく、「コンピュータとは何か」「プラットフォームとは何か」を考え、自分が何を解決するか プラットフオームの外側に出る方法を考えに考えて考え抜くことが大切です。その「思考体力」を持つことが若い世代にとって重要になるでしょう。


ということで、求められるのは、決まった「スキル」を効率よく学び習得したり、流行のガジェットやクラウドサービスを使いこなす技術ではなく、それの基本にあるものについて菅家、それを超えることと主張していて、これはかなり難度の高いチャレンジでしょうね。とりあえずは、なにかのノウハウ本で、語学やPCのタイピングスキルを磨くといった、よくある「自己啓発」の世界とはかなり遠いところにありそうなので、ビジネススクールや語学スクールに通うことが出世の近道、という人は、もうちょっとよく考えたほうがよさそうですね。


特に、しばらく前まで流行していた「ワーク・ライフ・バランス」について筆者は


ワーク・ライフ・バランスが間題になるのは、「好きなこと」「やりたいこと」を仕事にしていないからです。解決したい問題がある人間は、できることなら1日γ時間、1年365日をそれに費やしたい。だから私は 時間を切り売りしてお金を稼ぐのではなく、自由な時間をより多く得られる仕事を選んでいるわけです。ワーク・ライフ・バランスなんて考えたこともないし、その概念自体が私には必要ありません。私は自分の人生を「ワーク・アズ・ライフ」だと思って捉えています。


と言っているあたりが象徴的かと思います。


で、どうやったらいいの、というあたりについては、筆者は


いちばん留意しないといけないのは、素人の心を失わないままに玄人になることです。

それを考えながらキャリアを進めていく必要があると思います。

本気で長く考え続けること、好奇心とテンションを高めに設定し続けること、要領よく子どもであること。素人思考を保つためになるべくまっさらな気持ちでモノに向き合えると良いと、思っています。


と「謎解き」のような言葉を残していますので、ここから先は、本書を読みながら読者自身が考えていくことなのでしょう。


レビュアーからひと言


今、感染が小休止しそうになっていて、「リアルの逆襲」ともいうような、コロナ以前の時代へ単純にもどろうとする反作用が働き始めているような気がします。その動きにのっかって旧来の路線を守るのも一方法かと思いますが、その推進力が、年令の高い層を中心としているのが少々気になります。若い人に限らず、年配者の方も、ここは旧来路線ではなく、「デジタル」

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日本一の人口最少県の住人。地方公務員、社会福祉法人役員を経て現在、行政書士開業中。

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