本や資料を大量・高速に読むコツは? ー 斎藤孝「超速読力」

2020年1月31日金曜日

斎藤孝 読書論

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齋藤孝さんといえば、国語学のジャンルだけでなく、様々な分野に博識な人で知られているのだが、その源泉となっているのは、大量の読書であるらしく、たとえば「下佐賀県の偉人について語る」という講演を依頼されて、佐賀県七賢人についての書籍を一晩に10冊読破して講演を乗り切ったというエピソードがその証左であろう。


これほどまでの速読までは望まないにしても、本の内容を把握しながら、できるだけ速く読了したい、というのはすべての「本を読む人」の願いでもあるのだが、巷にあふれる「速読術」はいずれも敷居が高いものばかり。そんな人向けに、本から「大量の情報をざーっと流しこんで、それに対してコメントが言える能力」を伝授しようというのが本書『斎藤孝「超速読力」(ちくま新書)』である。


【構成と注目ポイント】


構成は


はじめにー見た瞬間に理解できる「超速読力」が求められている

第一章 「超速読力」を身につける基礎準備〜心構え

第二章 「超速読力」のやり方〜資料を読む

第三章 「超速読力」のやり方〜新書、実用書を読む

第四章 「超速読力」のトレーニング

第五章 高度な「超速読力」〜小説、古典を味わう

第六章 実際に小説な古典を「超速読」してみよう

おわりにー書を買って、カフェに入ろう


となっているのだが、まず本書で教える秘訣は、多くの読書にまつわる「常識」を捨てることで、それは


「超速読力」の場合は、最初から順番に読んでいく、という呪縛を捨てる所から始めてください。


とか


だいたいの本や資料は、大事なことが後ろにきます。

(略)

時間がないときは、真ん中あたりから読み始めることをおすすめします。


といったところに現れている。どうやら、筆者の言う「超速読」とは、いかに素早く論旨や、作者のいいたいことつかむか、といったことのようで、その意味で、目の動きや視野を広げトレーニングを必須とする、世間によくある「速読術」とは一線を画していると考えたほうがいい。


そして、そのノウハウのいくつかをピックアップすると、新書を読む場合は、目次で全体構成を把握し、本文の小見出しをパラパラ見た上で


①あらかじめ頭に入れた全体像から類推される重要箇所に線を引きながら読む

②本の後ろに解説があったら、そこに引用されている文章を、本文の中から探して線を引いていく。

③自分で「おっ」とときめく箇所に線を引いていく


といった感じで「本を汚す」読書術が有効であるし、古典を読む場合は


作品のある部分をセレクトして読んでいく「駅弁方式」というものです、作品を最初から読んでいくのではなく、いちばん肝心なところをセレクトして味わうわけです。


といったように、ちょっと「ズルい」読み方も「有リ」のようですね。


このほかに、「のぞみ読み」とか「超音読」とか「目鱗」な読書法があれこれ出てくるので、読書家に限らず、仕事で大量の資料を読んだり、膨大な資料がでる会議で気の利いた意見を言ってドヤ顔をしたい人は、おさえておきたい一冊ですね。


【レビュアーから一言】


筆者のいう超速読は


本当は、一度読んだ本を二度三度と読むのが知識の定着としてはいちばんいいのですが、それでは受験勉強みたいになってしまいます。ですから同じような分野で、別の人が書いたものを三冊、五冊と読んでいくことをおすすめします。


とあるように、実は「多読のススメ」でもある。同じ筆者の『読書する人だけがたどり着ける場所』によれば


新書は知識がコンパクトのまとまっていて大変便利なものです。その新書をたった5冊読むだけで「全然知らない」Cランクから「けっこう詳しい」Aランクになれるのです。2冊読むだけでも「ちょっと詳しい」Bランク。


ということであるようなので、本書で「超速読」を身に着けると、いろんな世界が開けてくるかもしれないですね。

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日本一の人口最少県の住人。地方公務員、社会福祉法人役員を経て現在、行政書士開業中。

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