事業を軌道に乗せるには「3ヶ月」が "肝” ー 佐々木大輔『「3ヶ月」の使い方で人生は変る』

2019年6月8日土曜日

時間管理

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 インターネットリサーチの草分け「マクロミル」を最初に博報堂、Googleを経て、クラウド会計ソフト「freee」を世に送り出した筆者・佐々木大輔氏による、Googleの「クォーター」「3ヶ月サイクル」によるプロジェクトの進め方。時間術に関する解説本が、佐々木大輔『「3ヶ月」の使い方で人生は変る』(日本実業出版社)。


こういうGoogle流云々というビジネス本は、とかく効率性と生産性をあげる手段のみに言及していて、「で、生産性あげてどうするの」といったところになると途端に陳腐な話や儲け話になってしまうことが多いのだが、本書の場合


僕は「時間術」や「タイムマネジメント」は、効率化して生み出した時間で、非効率なことに時間や情熱を注ぐことがゴールだと考えている


とあって、イノベーションの根幹を捉えている言葉ではある。


【構成と注目ポイント】


構成は


第1章 「3ヶ月」で人生は変る

第2章 3ヶ月のテーマを決める

第3章 3ヶ月のゴールを決める

第4章 3ヶ月の「時間泥棒」を決める

第5章 3ヶ月の「生産性」を高めるスケジューリング

第6章 成功は「アウトプット」しなければ始まらない


となっていて、まず「なぜ3ヶ月?」といった問いに対して


「3ヶ月」という時間の単位は、僕にとって全力投球して1つのテーマに集中できる限界ともいえる、・・同じテーマで3ヶ月以上やると飽きてしまって、楽しく続けられないのだ。(P18)


「3ヶ月」というのは、日数にすると90日だから「じゃ、やろう」と高い関心を保ちながら、楽しく取り組める期間として、長すぎず短すぎずちょうどいい(P19)


という答えが用意されているのだが、これは謙遜の部分が多分に含まれていて、おそらくは、3ヶ月というのが人が集中できる最大限の期間で、なおかつ成果が見えてくる最低限の期間なのかな、と推測する次第。


なので、3ヶ月で取り組むテーマの選び方も独特で、


ワクワクすることを選ぶ。

これは、3ヶ月間、1つのテーマに取り組むときの鉄則だ。(P34)



3ヶ月間で取り組むテーマは、「みんなが注目していないこと」の中から選んだほうがいい。

テーマはワクワクすると同時に、みんなあまりやらないこと、注目していないことを基準に考えていく。これだと単純にライバルが少ないし、成果も出しやすいからだ。(P38)


であったりするところは成果重視とやる気重視の折衷案というところであろうか。そして、3ヶ月間で重視すべきなのは


大事なことは、スピーディーに行動して、まず何らかの成果を出すこと。そしてユーザーのフィードバックを受けて改善して完成度を高めていくこと(P63)


であったり、


成功は、アウトプットしなければ始まらない。・・・さらに言えば、いち早くアウトプットすることに大きな価値がある。・・一番、生産性が低いのは、失敗する以上に、失敗を恐れてなかなかアウトプットしないことだ。

(略)

完璧なアウトプットかどうかより、アウトプットから何を学ぶか、どうブラッシュアップしていくかを重視している(P174)


であることは、「まず動き出すことが大事」というGoogleで働いた人の書くビジネス本に共通していて、このあたりはトライ&エラーが当たり前のアメリカ流ビジネスを反映しているのだろう。

とはいうものの、やみくもに動いたり、とにかく働けという日本風なモーレツ主義と異なるところは


自分でコントロールできない部分があると、目標を達成するために具体的に何をスべきか見えず、とにかく頑張るしかなくなってしまう。

(略)

ゴール(目標)を設定するときは「売上100万円(達成目標)」ではなく、その一歩手前の「クライアントへの訪問件数20件(行動目標)」というふうに、「自分がやるべきこと」に的を絞ったものにする必要がある(P73)


と熱気とやる気だけに頼らない、冷静な目標設定のあたりであるし、使うアプリとかワーキング・ツールは


スケジュールを管理する「カレンダー」、絶対にやるべき次のタスクを知らせる「リマインダー」、緊急ではないけれど中長期で取り組むことを書き留める「メモ」というだいたい3つのツールを使ってプランを回している(P160)


といったようにシンプルなのが意外なところであろう。


3ヶ月ですべて物事が解決したり、成果が出たり、といったことばかりではないと思うが、なにかしら事を起こして、その方向性を見極めたり、方向性を点検したり、といった期間としては「3ヶ月」は適切な期間。何か新しいことに取り組もうというビジネスマンは本書のアドバイスを参考にしてみてはいかがであろうか。


【レビュアーから一言】


冷静なところと熱いところが混在していているビジネス本ではあるのだが、


「才能」とは、楽しみながら続けられること。楽しめる対象は人それぞれだ、目標に向かって進むか、見切りをつけるかどうかの意思決定で迷ったとき、「楽しい」は1つの判断基準になる(P125)


といったあたりは、手法やツールは冷静に選択して使いながら、ゴールは自分の理想をきちんと見据える、といったところが好感がもてる。「事を起こす」前に一読しておきたい一冊ですね。

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日本一の人口最少県の住人。地方公務員、社会福祉法人役員を経て現在、行政書士開業中。

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