世の中の成功原理は間違いだらけ ー エリック・パーカー「残酷すぎる成功法則」

2018年10月12日金曜日

経営論

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 「成功の法則」は書店のビジネス書のコーナーにいけば、溢れんばかりに陳列されていて、そのどれもが、「これ一冊でOK」と主張しているのだが、さて、どれが一番いいのか、はっきりと答えられる人は稀であろう。

そんな、世間に流布する「成功法則」を捌(さば)いてみせるのが本書『エリック・パーカー「残酷すぎる成功法則ー9割まちがえる「その常識」を科学する」(飛鳥新社)』である。


【構成は】


序章 なぜ「成功する人の条件」を誰もが勘違いしているのか

第1章 成功するにはエリートコースを目指すべき?

第2章 「いい人」は成功できない?

第3章 勝者は決して諦めず、切り替えの早い者は勝てないのか

第4章 なぜ、「ネットワーキング」はうまくいかないのか

第5章 「できる」と自信を持つのには効果がある?

第6章 仕事バカ・・・それとも、ワークライフバランス?

結論 本当に人生を成功に導く法則は何か


となっていて、捌かれる「成功法則」は世間一般、流布している成功原理ばかり。


【注目ポイント】


本書の内容は


「間違った木」というのは、役に立たない成功法則のことだ。会社で出世したり、幸福な人生を手に入れるためには、「正しい木」をちゃんと選ばなければならない。でも、どうやって?

それが、エビデンス(証拠)だ


ということで、世間に流布している数々の成功法則について、ふんわりとした議論ではなくて、冷静に証拠を確かめながら検証していくスタイルである。

そのため「残酷過ぎる」という邦題になっているんだろうが、実際のところは、すとんと腑に落ちることが多くて、当方の感じでは、「残酷過ぎる」ではなく、「身も蓋もない」というのがすんなりくるところである。


それは例えば、第一章のテーマである、成績の良いエリートが成功するのか、それとも成績はパッとしないが雑草の生命力を持つ非エリートの方が成功するのか、といった古来からの議論のところにも、よく現れていて


高校でのナンバーワンがめったに実社会でのナンバーワンにならないのはなぜか?理由は二つある。

第一に、学校とは、言われたことをきちんとする能力に報いる場所だからだ。

(略)

第二の理由は、すべての科目で良い点を取るゼネラリストに報いる学校のカリキュラムにある。学生の情熱や専門的知識はあまり評価しない。ところが、実社会ではその逆だ


と、非エリートの優位性の方に肩を持つかと思いきや


「ふるいにかけられた」リーダーは、トップの座に就くまでに十分に審査されてきているので、常識的で、伝統的に承認されてきた決定をくだす。手法が 常套的なので、個々のリーダー間に大きな差異は見られない。リーダーが及ぼす影響力はさほど大きくないとした研究結果が多く見られた理由はここにある。

しかし「ふるいにかけられていない」リーダーは、システムによる審査を経てきていないので、過去に〝承認済みの〟決定をくだすとは限らない

(略)

その反面、彼らは変化や変革をもたらす。ルールを度外視して行動するので、自ら率いる組織自体を壊す場合もある。だがなかには、少数派だが、組織の悪しき信念体系や硬直性を打破し、大改革を成し遂げる偉大なリーダーもいる。


ともあって、どちらに肩入れするわけでもなさそうだ、とちょっとどんでん返しを食らわさせる。


さらには「良いリーダーと偉大なリーダーの差は程度の問題ではなく、両者は根本的に異なる人間なのです」と述べられているところをみると、エリートと非エリートのそれぞれのリーダーは求められる場所が異なっていて、それぞれが果たす役割が異なっているに過ぎず、どっちが優位ともいえないんだよ、という「身も蓋もない」主張な気がするんである。


では、こういう主張が「残酷か」というとそうでもなく、例えば、当方を含め、多くの人は、エリートの典型でもなく、非エリートの典型でもない。そんな中途半端な存在にとっては、従来の「エリートと非エリートの比較」の観点では、全く成功を議論する「埒外」の対象に過ぎなかったのだが、


自分が「ふるいにかけられた」タイプと「ふるいにかけられていない」タイプのどちらに属すのかを知り、自分の強みがどこにあるかを理解するだけでも、成功と幸福の達成に向けて、一般の人を大きくリードするといえる。


とし、さらには


これはあなたにもできることだ。自分をよく知り、正しい〝池〟を選択する。すなわち、自分なりの強みを見きわめ、それを最大限に活用できる場所を見つけるのである。


というところには、中途半端な存在の我々も、自分の特質を知り、自分にあった「場所」をみつけることによって、立派な成功の途もあることを示してくれていて、かえって救われる気がしてくるんである。


で、第2章以降も、こういう「身も蓋もない」分析が重ねられていて、世間一般の通説の「成功法則」がいかに頼りにならないかが明らかにされている。読むほどに、妙な高揚感と爽快感を感じさせる展開になってますな。


【まとめ】


えてして「身も蓋もない」ことは、味気ないものであるのだが、「成功法則」を分析することに関しては、その飾りをとりさることによって、かえって、「優しい」ものとなる。

なにかとうまくいかないことが重なって、ひしゃげそうになっている向きは、本書を読んで、通俗的な「成功原理」の方をひしゃげてみてはいかがでありましょうか。

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日本一の人口最少県の住人。地方公務員、社会福祉法人役員を経て現在、行政書士開業中。

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